睡眠時無呼吸症候群でも生命保険は支払われる?告知義務や保障対象を徹底解説

睡眠時無呼吸症候群と生命保険の関係

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、眠っている間に呼吸が何度も止まる病気で、いびきや日中の強い眠気、集中力の低下などの症状を引き起こします。重症の場合は高血圧や心疾患、脳卒中など命に関わる合併症のリスクもあるため、医療機関での治療が必要です。

このような健康状態が生命保険にどう影響するのか、気になる方も多いのではないでしょうか。「診断されたら保険金がもらえるのか」「新たに加入する際に不利になるのでは?」といった疑問を持つのは自然なことです。

この記事では、睡眠時無呼吸症候群と生命保険の関係について、加入時のポイントから実際の支払い事例まで、詳しく解説していきます。

睡眠時無呼吸症候群は生命保険の支払い対象になる?

結論から言うと、睡眠時無呼吸症候群が直接的に生命保険金の支払い対象になることはあまり多くありません。なぜなら、生命保険の死亡保障は原則として、被保険者が亡くなった際に支払われるものであり、「SASの診断」自体が対象になるわけではないからです。

ただし、SASが原因で起こった合併症(心筋梗塞、脳卒中、交通事故など)で死亡した場合には、保険金の支払い対象になる可能性があります。特にSASの放置によって起こる「突然死」や「運転中の事故死」などが該当します。

一方、入院保険や医療保険の給付については、治療や検査、手術に対する費用の補償が対象となる場合があります。たとえば、検査入院やCPAP治療の導入時の医療費が給付金の対象となることもあります。契約内容により異なるため、事前に保険会社へ確認することが重要です。

加入時の告知義務とその重要性

生命保険に加入する際には、「健康状態に関する告知」が義務付けられています。これは、保険会社がリスクを判断するために必要な情報を提供する手続きです。睡眠時無呼吸症候群の診断を受けている場合、必ずこの情報を正しく申告する必要があります。

告知内容には以下のような情報が含まれるのが一般的です。

  • 現在または過去の診断名(例:睡眠時無呼吸症候群)

  • 診断を受けた時期

  • 治療内容(CPAP、マウスピースなど)

  • 現在の症状の有無

  • 医師による経過観察の有無

告知しなかった場合のリスクとは

仮に診断された事実を告知しなかった場合、保険契約は**「告知義務違反」**と判断される可能性があります。この場合、以下のようなリスクがあります。

  • 契約が無効となり、保険金が支払われない

  • 保険会社から契約解除される

  • 保険金支払いの請求が拒否される可能性が高い

たとえ保険加入後に無呼吸症候群が原因で亡くなったとしても、事前に告知していなかった場合には保険金が支払われないケースもあるため、誠実な申告が絶対条件です。

症状がある場合に加入できる保険の種類

睡眠時無呼吸症候群と診断されていても、生命保険に全く加入できないわけではありません。健康状態に不安がある方向けに設計された以下のような保険商品があります。

引受基準緩和型保険

これは、持病や治療中の病気があっても加入しやすいように設計された保険です。通常の保険よりも告知項目が少なく、たとえば「過去2年以内に入院していないか」といった簡易な質問に答えるだけで加入できるケースがあります。

ただし、以下のような特徴があります。

  • 保険料は割高(通常の保険の1.5倍〜2倍)

  • 保険金が支払われない「免責期間(90日〜1年)」が設定されている

  • 健康状態が回復しても保険料はそのまま

とはいえ、「持病があっても安心して入れる保険」という意味では心強い選択肢です。

無告知型保険

無告知型保険は、その名のとおり「健康状態を一切告知せずに加入できる保険」です。通常は一定年齢以上(60〜80歳)を対象に販売されており、告知不要の代わりに以下のような制限があります。

  • 加入年齢が限定されている

  • 保険金額に上限(300万円など)がある

  • 保険料が高め

  • 免責期間が設定されている

睡眠時無呼吸症候群に限らず、他の持病や既往症がある場合の“最後の手段”として選ばれる保険です。

実際に支払い対象になるケースとならないケース

睡眠時無呼吸症候群そのものでは生命保険の支払い対象にはなりませんが、それに起因する健康被害や死亡の場合には保険金が支払われることがあります。

以下に、実際に支払いが認められる・認められない事例の一例を整理します。

ケース内容 保険金支払い対象か
SASが原因で心筋梗塞を起こして死亡 ○ 支払い対象
SASにより車の運転中に居眠りし、事故死 ○ 支払い対象
SASの治療で入院し、入院給付金を請求 ○ 契約内容により対象
SASの診断のみ(通院治療・CPAP使用) × 支払い対象外
加入時にSASを告知せず、後にSAS由来の疾患で死亡 × 告知義務違反により不支給

重要なのは「保険の保障内容にSAS関連のリスクが含まれているかどうか」と、「告知義務を正しく果たしているかどうか」です。

注意点を整理!チェックリスト

生命保険と睡眠時無呼吸症候群の関係で失敗しないために、以下のポイントを確認しておきましょう。

チェック項目 チェック
睡眠時無呼吸症候群と診断された事実がある
保険加入時に医師の診断名や治療内容を正確に告知した
加入中の保険がSASの合併症による死亡や入院に対応している
病状の変化があった場合、保険会社に報告している
持病があるため、引受基準緩和型や無告知型保険も検討している

2つ以上チェックがつかない場合は、保険内容の見直しや保険会社への確認をおすすめします。

まとめ:適切な告知と保険選びで安心を

睡眠時無呼吸症候群に診断されたからといって、生命保険に加入できないわけではありません。また、SAS自体が保険金支払いの対象となることは少ないものの、合併症や事故などによって死亡した場合には、保障の対象となることがあります。

重要なのは、加入時に正しく告知を行うこと、そして自分の症状やライフスタイルに合った保険を選ぶことです。引受基準緩和型保険や無告知型保険といった選択肢も活用しながら、万が一の備えを万全にしておくことで、より安心して治療と向き合うことができます。

不安な方は、保険会社や専門のファイナンシャルプランナーに相談することで、状況に合ったベストな保険設計ができるはずです。

参考・引用URL

・生命保険文化センター「生命保険の告知義務と告知義務違反」
https://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/insurance/4.html

・保険市場「持病があっても入れる保険とは?」
https://www.hokende.com/

・全国SASネット「睡眠時無呼吸症候群とは」
https://www.sas-japan.org/